プリンタメンテナンス

あなたのプリンタ、綺麗に印刷できていますか?


 先日、友人から「プリンタで印刷したら、なんか紙が汚れてるんだけど、どうしたらいい?」と聞かれました。プリンタの内部は長く使っているうちにだんだんと汚れてきます。これらを放っておくと、その汚れが紙に転写されてしまうのです。そこで、プリンタ内部のお掃除のポイントも含めて、プリンタを使う時に注意したほうが良い点をまとめてみました。なお、ここに書いてあることはEPSONのプリンタについてです。他のメーカーのものは使っていないのでよく分かりません・・・


印刷結果に横スジが入る

 印刷してみたら一定間隔で白い横スジが入っているということがあります。これはプリンタヘッドのインクを吐出するノズルが一部目詰まりを起こしているからです。ひどい場合にはある色がまるっきり抜けてしまって、印刷結果の色が変わってしまうこともあります。「印刷結果が、何だかおかしいな?」と思ったら、ノズルチェックパターンを打たせてみましょう。

 ノズルチェックパターンを印刷するには、プリンタドライバのプロパティを開き、印刷設定の中にあるユーティリティタブをクリックします。するとこのような画面が出てくるので、「ノズルチェック」ボタンをクリックし、プリンタにA4用紙をセットして「印刷」ボタンを押します。
 または、いったんプリンタの電源を切り、給紙ボタンを押しながら電源を入れることでも、ノズルチェックパターンを印刷することができます。

 ノズルが目詰まりを起こしていると、写真のようにノズルチェックパターンの一部、あるいは大部分が抜けて印刷されます。この例では、黒インクが1本だけ、シアンインクは半分くらいが目詰まりを起こしています。

 このような場合には、ヘッドクリーニングを行ってください。クリーニングの方法、コツは後述します。


インクが飛び散っているように見える


 写真のように、インクが飛び散ったような印刷結果になる時は、飛行曲がりを起こしています。ノズルチェックパターンを印刷すると、一見全てのノズルが吐出しているように見えますが、よく見るとこのように一部だけずれて印刷されます。この場合にも、ヘッドクリーニングを行ってください。


ヘッドクリーニングの方法

 ヘッドクリーニングは、先ほどのプリンタドライバの印刷設定画面で、「ヘッドクリーニング」ボタンをクリックすることで行います。または、プリンタ本体のインク交換ボタンを長押ししてもいいです。すると電源ランプが点滅し、ヘッドクリーニングが始まります。電源ランプの点滅が終わったら、クリーニング終了です。

 ここですぐにノズルチェックパターンを印刷してみたくなるところですが、ちょっと待ってください。ヘッドクリーニングというのは、ポンプでヘッド内のインクを吸い出すことで目詰まりを解消します。そのためクリーニング直後は、ヘッド内部のインクが泡立ってしまっています。この状態で印刷すると、今までは正常に吐出していたノズルが飛ばなくなってしまうことがあるのです。ヘッドクリーニング後、10分程度、できれば30分くらい放置して、ヘッド内部の泡がおさまってからノズルチェックパターンを印刷してみて、目詰まりが解消されたかどうか、チェックしましょう。

 一度ヘッドクリーニングをしても目詰まりが解消されない場合は、もう一度ヘッドクリーニングを行います。この時、プリンタは自動的に1回目よりも強力なクリーニングを行うようになっています。そして同じくしばらく放置した後、ノズルチェックパターンを印刷します。

 以上の操作を目詰まりが解消するまで繰り返すわけですが、3回ほど繰り返しても直らない場合、インクの変質やプリンタの故障を疑わなければなりません。インクカートリッジ内のインクは、パックから出されてプリンタにセットされると、少しずつ変質していきます。通常はそれほど問題にならないのですが、プリンタの使用条件によっては、インクの水分が蒸発して粘度が上がってしまっている場合があります。こうなると、いくらヘッドクリーニングを行っても目詰まりは解消されません。ヘッドクリーニングを繰り返しても効果がない場合は、インクカートリッジを新品と交換してみましょう。この場合、たとえインクが残っていても、全てのカートリッジを交換したほうが無難です。

 これらの対策を全て行ってみても効果がなければ、残念ながらプリンタの修理が必要となるかもしれません。


印刷結果に縦線が入る、紙が汚れるなど


 印刷してみたら、印刷面に黒い縦の線が入る、黒い点線が入る、紙のふちや裏側が汚れるなどの現象は、プリンタ内部の汚れが原因です。紙詰まりや何かのエラーで紙が給紙されないまま印刷されると、写真のプラテン部分にインクが付着します。そのまま印刷を続けると、紙の裏側やふちを汚してしまいます。また、紙送りローラーやギザローラーにインクが付着すると、その汚れが別の紙に転写されて、縦線や一定間隔の汚れの線となってあらわれます。

 対策は、これらの汚れを拭き取ることです。OA用のクリーニング用ウェットティッシュ(なければ普通のティッシュを濡らしたものでも可)で、プラテン、紙送りローラー、ギザローラーの汚れを丁寧に拭き取ります。その後、紙を何度か空通し(紙をセットして、給紙ボタンを押すと給紙され、もう一度押すと排紙されます。これを何度か繰り返す)して、その紙に汚れが転写されなくなればOK。

 印刷面に黒くベッタリと汚れが付く場合、紙とヘッドとの距離が近過ぎるのかもしれません。ハガキなどの厚さのある紙に印刷する場合や、印刷領域を拡大して紙の下端ギリギリまで印刷する場合に、紙とヘッドとがこすれてこのような汚れが付いてしまうことがあります。その場合には、ヘッドの高さを調整するPGレバーを+側に倒して、ヘッドの高さを少し上げます。こうすれば紙とヘッドが接触しないので、紙を汚すことはなくなります。ただし、この状態のまま薄い紙に印刷すると、ヘッドと紙との距離が離れているため、インクが紙に着弾する位置が微妙にずれてしまい、印刷品質が若干低下する可能性があります。通常はPGレバーを元の位置(0)に戻しておきましょう。


普段、注意すること

●プリンタの使用環境に気をつける。
 取扱説明書によると、プリンタの設置環境は温度10℃〜35℃、湿度20〜80%となっています。これらの条件のうち、私の経験では、低温になるとプリンタの調子が悪くなることが多いです。冬場、暖房を入れていない部屋でプリンタを動かすと、インクが固くなっているためノズルが目詰まりしやすいです。また、あまりに寒いと、キャリッジの動きが悪くなるため、モーターが脱調してガリガリとすごい音を立てて止まってしまいます。
 室温が高い場合、プリンタ内部の部品が熱くなり過ぎないように印刷スピードが遅くなりますが、印刷自体は正常に行われます。
 湿度の影響はよく分かりませんが、あまりに高湿度だと印刷結果が滲むことがあるそうです。

●長期間使わない場合にも、時々電源を入れる
 長期間プリンタを使わずに放置しておくと、ヘッドの内部のインクが乾いて、固まってしまいます。こうなると目詰まりを起こしてなかなか回復しないので、時々電源を入れてください。そうすれば前回電源を入れた時からの経過時間に応じて自動的に軽いクリーニングが行われ、ヘッドの目詰まりを防止します。頻度は1ヶ月に1回程度で充分です。「プリンタの電源を入れるのは、1年に1回年賀状を打つときだけ」という使い方は、プリンタにとってはかなり厳しい条件です・・・

●使わない時には、ほこりよけのカバーをかけておく
 多くのプリンタは、給紙トレイに紙をセットしたとき、上側になる面に印刷します。紙の上にほこりが付着していた場合、そのほこりが付着した面に印刷されることになります。そうなると綺麗に印刷できないばかりでなく、ほこりが紙送りローラーに付着して、そのほこりが周囲のインクを吸い込んで紙を汚したり、インクをたっぷり吸い込んだほこりがギザローラーに引っかかって、次の紙を汚したりします。専用のカバーでなくても、布や新聞紙でも構わないので、プリンタを使わない時は何かほこりよけのカバーをかけておいてやってください。

●インクカートリッジは、必ずパックから出してすぐにセットする。
 インクカートリッジを交換する時、カートリッジからプリントヘッドへインクを送るパイプに、どうしても空気が入ります。カートリッジをセットすると自動的にクリーニングが行われてこの空気を追い出すのですが、パイプの中に空気の小さな泡が残ってしまう場合があるのです。こうなるとインクに圧力をかけて吐出させようとしても、この泡がクッションとなって力を分散させてしまうため、そのノズルはうまく吐出しなくなってしまいます。クリーニングを行っても、この小さな泡はなかなか出てきません。

 未開封のインクカートリッジは、減圧されたパックに入っています。インクは空気があまり溶け込んでいない、脱気状態になっています。このカートリッジをプリンタにセットすると、パイプ内部に残っていた空気の泡が、インクに溶け込んで消えるのです。パックから出してしばらく放置したインクカートリッジは、もうインクに空気が溶け込んでしまった飽和状態になっているため、このパイプ内部の泡を溶かし込む効果が期待できなくなってしまいます。さきほどクリーニングを繰り返しても復帰しない場合には新品のインクカートリッジと交換してくださいと書いたのは、このためです。

●コンセントを抜く前に、電源スイッチを切る。
 電源スイッチを切ると、キャッピングといってプリンタヘッドにふたがされるようになっています。パソコン関係の電源を集中スイッチでまとめてON/OFFするようにしている場合、電源を入れたまま集中スイッチを切ると、このキャッピング処理がうまく行われない場合があります。そのまま放置すると、インクが固まってノズルが目詰まりしてしまいます。必ずプリンタ本体の電源スイッチを押して電源を切ってから、集中スイッチを切るようにしてください。・・・と言いつつ、実は私もこれ、しょっちゅうやっちゃうんですよね。(^_^;)

●印刷が終わったら、PGレバーを一番下げた位置(0)にしておく。
 PGレバーを+側に倒し、そのまま放置したり電源を切ったりしても、ちゃんとキャッピングされて問題はない・・・はずなんですが、今までの経験上、PGを上げたままにしておくと、ヘッドが目詰まりを起こす頻度が高くなるようです。取扱説明書には書いてありませんが、PGレバーは必要な時以外は一番下げた位置にしておくのがよいでしょう。なお、ヘッドクリーニングを行う時にも、PGを上げたままにしておくと、回復性が悪くなる傾向があるようです。

最後に・・・インク詰め替えキット等の使用は、あくまでも自己責任で、ね。
何が起こっても文句は言えませんから・・・


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